フォークリフト事故の労災認定と損害賠償請求について【弁護士が解説】

物流や製造現場の要であるフォークリフトは、その利便性の反面、ひとたび事故が起きれば重大な後遺障害や死をもたらす「動く重量物」としてのリスクを孕んでいます。

万一、事故に遭ってしまった場合、適切な補償を受けるためには労災保険の知識だけでなく、会社に対する損害賠償請求の法理を正しく理解する必要があります。本記事では、フォークリフト事故について、被害者が守るべき権利と解決のポイントを弁護士が解説します。

フォークリフト事故の発生状況と深刻な実態

⑴  近年の統計に見る現状

厚生労働省が発表した2024年の労働災害統計(確定値)によれば、死亡者数は746人と過去最少を更新しました。
しかし、休業4日以上の死傷者数は5年連続で13万人を超える高止まりの状態にあります(引用:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/index.html)。

特に注意すべきはフォークリフトによる事故です。
依然としてフォークリフトに起因する重大事故は全国で相次いでおり、年間約2,000件ペースという深刻な状況は改善されていません(引用:一般社団法人日本産業車両協会http://www.jiva.or.jp/pdf/25_SafetyDay_1-1.pdf)。

フォークリフトの死亡事故自体は減少傾向にあるとはいえ、フォークリフト事故は一度起きれば「命に関わる」「重い後遺障害が残る」リスクが極めて高いのが実態です。

⑵  事故類型の割合と死亡災害

フォークリフトの事故について、近年では、死傷災害のうち、はさまれ・巻き込まれ・激突されといった事故類型は合計約60%を占めており、転倒と墜落・転落といった事故類型は合計約18%にとどまっています。
しかし、死亡災害のみに着目すると、はさまれ・巻き込まれ・激突されの事故類型は合計約40%となり、一方で、転倒と墜落・転落といった事故類型は合計約35%と死傷災害の割合よりも高くなります。
すなわち、転倒と墜落・転落による災害は発生した場合、死亡に至る危険性が高いということができます。(引用:一般社団法人日本産業車両協会http://www.jiva.or.jp/pdf/25_SafetyDay_1-1.pdf

事故後に検討すべき「2つの法的手段」と特別支給金

被害者の方が検討すべき補償手段は、大きく分けて以下の2種類です。

⑴  迅速な救済としての「労災保険」

業務中・通勤中の事故であれば、本人の過失に関わらず給付が受けられる可能性があります。

療養補償給付: 治療費の全額。

休業補償給付: 休業中の所得補償(労災事故前直近3か月の給与平均の約8割(約6割の補償+約2割の特別支給金))。

障害補償給付: 後遺障害が残った場合の一時金または年金。

⑵ 会社への「損害賠償請求」と特別支給金のメリット

労災保険ではカバーされない「慰謝料」や「将来の逸失利益」等についても、会社に対する損害賠償として請求することができます。

ここで実務上重要なのが「特別支給金」の扱いです。労災保険から支給される特別支給金は、会社からの損害賠償額から差し引かれない(控除されない)という最高裁の法理が確立しています。つまり、適切に手続きを行えば、損害賠償金とは別に支給金を受け取ることができ、経済的救済において大きなメリットとなります。

「労災認定」を受けるための2つの条件

フォークリフト事故が労災と認められるには、以下の条件を満たす必要があります。

・業務遂行性: 事業主の支配・管理下で作業を行っていたこと。

・業務起因性: 事故が業務に内在する危険によって発生したこと。

※通常の作業はもちろん、準備や片付け中の事故も原則として認められる可能性が高いですが、私的な運転や極端な悪ふざけに基づくものは否定される可能性があります。

会社の安全配慮義務違反と労働安全衛生規則

会社に損害賠償を請求するには、会社の「安全配慮義務違反」を立証する必要があります。実務上、以下のような労働安全衛生規則(安衛則)の定めに違反していることが会社の安全配慮義務違反を強く基礎づけることになります。

・作業計画の策定義務(安衛則151条の3):フォークリフトを用いて作業を行う時は、運行経路や作業方法を定めた計画が策定されていなくてはなりません。

・作業指揮者を定める義務(安衛則151条の4): フォークリフトを用いて作業を行う時は、当該作業の指揮者を定めなければなりません。

・立ち入り禁止措置(安衛則151条の9):一定の場合には、フォークリフトのフォーク、ショベル、アーム等の下への立ち入りを禁止する旨の措置をとらなければなりません。

5 2025年最新動向と解決までの流れ

⑴ 2025年1月施行:電子申請の義務化

令和7年(2025年)1月1日より、労働者死傷病報告の提出が原則として「電子申請義務化」されました。これにより事故状況の透明化が進み、いわゆる「労災隠し」への監視が強化されています。

⑵ 解決までのステップ

治療と症状固定:医師から「症状固定」の診断を受けるまで治療に専念。

後遺障害等級認定:労災から等級認定を受けます。これが賠償額の決定打となります。

証拠収集と損害計算:安衛則違反の証拠を固め、裁判所基準(弁護士基準)で適正な賠償額を算出。

交渉・訴訟: 会社側と示談交渉を行い、解決しない場合は裁判へ進みます。

弁護士に相談する意義

フォークリフト事故は、複雑な骨折や神経損傷を伴うことが多く、高度な医学的知見と法律知識が不可欠です。以下の点において、弁護士に相談する意義があります。

後遺障害の最大化:適切な検査等をアドバイスし、適正な等級獲得を目指します。

過失割合の適正化:被害者側の過失を不当に高く見積もられないよう、過去の判例に基づき交渉します。

一貫したサポート: 労災申請から損害賠償請求まで一括して引き受けます。

まとめ

フォークリフト事故により生じた損害については、労災保険だけで十分に救済されるとは限りません。会社側の安全管理に問題がある場合、適正な補償を獲得することが、被害者とその家族の未来を守ることにつながります。

もし、補償内容や会社の対応に不安を感じているなら、お早めに当事務所へご相談ください。一瞬の事故が残した重い傷に対し、法的な立場から最大限の支援をいたします。

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