【弁護士が解説】製造業で挟まれ・巻き込まれ事故に遭った方へ――適切な後遺障害等級と賠償金を得るために今知っておくべきこと

製造業の現場で日々お仕事をされている皆さまにとって、機械や設備を使った作業は日常の一部です。毎日繰り返される作業の中で、安全に注意を払いながら働いておられることと思います。しかし、どれだけ注意をしていても、思わぬ事故が突然発生してしまうことがあります。特に「挟まれ・巻き込まれ」事故は、製造業の現場においてもっとも多く、しかも深刻な怪我に繋がることが多い事故の一つです。

もし、あなたやご家族がこのような事故に遭われたとしたら。

突然の痛み、入院、治療、仕事ができない不安、将来の生活への心配。

こうした不安の中で「今後どのように補償を受けられるのか」「きちんとした賠償金を受け取れるのだろうか」と悩まれるのは当然のことです。今回は、こうした方々が少しでも安心できるように、弁護士の視点から分かりやすくご説明します。

1. 製造業で多発する「挟まれ・巻き込まれ」事故

製造現場では、重たい金属を加工するプレス機、部品を搬送するベルトコンベア、高速回転するロール、ロボットアームなど、多種多様な機械が活躍しています。これらは業務効率を上げる一方で、わずかなタイミングのズレや機械の不調、誤操作などで、一瞬にして重大な事故を引き起こすことがあります。具体的に起こりやすい事故の例として以下のようなものがあります。

・プレス機での事故

・搬送機・ベルトコンベアの巻き込まれ

・ロボットアームによる事故

・高速回転機械の巻き込まれ

これらの事故は、ほんの一瞬の油断や設備のわずかな不具合によって突然発生します。そして、多くの場合、事故後には長期間の入院やリハビリ、さらには後遺障害が残ってしまうケースもあります。

2. 会社の「安全配慮義務」とは

事故に遭った方やご家族にまず知っておいていただきたいのは、会社には法的に「安全配慮義務」という重要な義務が課せられているという点です。

安全配慮義務の内容として、会社は、従業員が安心して安全に働けるように、次のような措置を取る法的義務を負っています。

・機械設備を安全に管理・点検すること

・必要な安全装置(カバー・センサー・非常停止装置など)を設置すること

・従業員に安全教育・訓練を十分に実施すること

・危険な作業について適切なマニュアルを整備すること

・作業環境を整備し、危険箇所を明示すること

会社がこれらの義務を怠っていた場合、会社の安全配慮義務違反として、労災とは別に損害賠償請求を行うことが可能になります。

3. 事故直後は「治療」と「記録」が最優先

万が一、事故が発生してしまったとき、一番大切なのはまずご自身の身体を最優先に考え、速やかに適切な治療を受けることです。

事故直後にしっかりと検査を受け、診断書など医療記録を残しておくことは、後々の補償手続きにおいて非常に重要な証拠となります。

4. 事故直後の「証拠保全」の重要性

治療と並行して、事故状況を客観的に記録することが後々大きな力になります。

・現場の写真

・事故の瞬間を目撃した作業員や監督者の証言

・作業日誌や作業指示書のコピー

・会社が作成した事故報告書

これらの証拠が残っていることで、後に「会社の安全管理に問題があったのでは?」という主張を裏付ける大きな材料になります。事故後の混乱の中では難しいこともありますが、ご家族が協力して証拠を確保しておくことも検討してみてください。

5. 労災保険と損害賠償請求

事故に遭った場合、まず労災保険から給付を受けることができます。労災保険は国の制度であり、会社の過失の有無に関わらず給付を受けられる点が特徴です。

労災保険から受けられる主な給付

・療養補償給付(治療費全額支給)

・休業補償給付(給与の約8割相当)

・障害補償給付(後遺障害が残った場合の一時金や年金)

・遺族補償給付(死亡事故の場合の遺族年金)

ただし、労災保険だけでは損害の全額をカバーしきれない場合が多いのが実情です。

労災保険で不足する部分は、会社に対する損害賠償で補うことが可能になります。

・治療費の自己負担分・差額分

・実際の収入減少(休業損害の不足分)

・後遺障害慰謝料(後遺障害が残ったことに対する精神的苦痛への賠償)

・将来の逸失利益(障害により働けなくなった将来の収入)

・交通費・付添費などの細かな実費

特に後遺障害が残るケースでは、労災保険だけでは生活再建に不十分なことが少なくありません。また、事故の内容や後遺障害の程度によっては、数百万円から数千万円の賠償額となることもあります。

6. 後遺障害の認定は慎重に

挟まれ・巻き込まれ事故の場合、重度の後遺障害が残るケースも少なくありません。たとえば、指の切断、手の機能障害、腕の切断などは、労災の後遺障害等級でも高い等級に認定される可能性があります。

後遺障害等級は、1級〜14級まで細かく定められており、等級によって賠償額が大きく変わってきます。

この後遺障害等級の認定が適正にされるかどうかが、賠償金額を左右します。逆に言えば、不適切に低い等級が付けられてしまうと、将来の補償額が大きく減ってしまいます。

7. 弁護士に相談することが「安心」につながる

事故に遭われた直後は、治療やリハビリに追われ、冷静に手続きを進めることが難しくなります。こうした時こそ、労災事故に詳しい弁護士のサポートを受けることが、安心・納得の補償を得る大きな力になります。

弁護士は以下のようなサポートを行います。

・会社との交渉や代理

・労災保険の後遺障害等級認定手続のサポート

・必要な医療記録・診断書の準備

・賠償金の適正額の試算と請求

会社との交渉において「会社から提示された金額が妥当なのかわからない」という不安に対しても、弁護士が一緒に整理し、必要ならば専門的に交渉しますので、どうか一人で抱え込まず、早めに専門家へご相談ください。

8.最後に――事故に遭われた皆さまへ

挟まれ・巻き込まれ事故は、突然、人生を大きく変えてしまいます。怪我を負った方だけでなく、ご家族全員が不安を抱えながら日々を過ごしておられることと思います。

こうした状況の中で最も大切なのは「ご自身とご家族の今後の生活を守ること」です。適切な補償や賠償を受けることは、当然に認められる権利です。

そして、その権利を正しく実現するために、私たち弁護士はいます。

もし、今、少しでも不安を感じておられるなら、一度ご相談ください。専門家として、あなたとご家族の安心のために、全力でサポートいたします。

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