ロールボックスパレット(かご車)による労働災害と損害賠償請求【弁護士が解説】

スーパーやコンビニ、物流倉庫などで日常的に使用されているロールボックスパレット(通称「かご車」)は、大量の荷物を効率よく運搬できる便利な器具ですが、その一方で重大な労働災害の原因となることが少なくありません。

近年、物流・小売業界ではいわゆる「2024年問題」による人手不足や作業過密化が指摘されており、現場の安全管理体制が十分に追いついていないケースも見受けられます。

本記事では、かご車による労災事故の実態、企業に求められる安全対策、そして被災した場合に利用できる補償制度や損害賠償請求について、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

統計が示す「かご車事故」の深刻な実態

厚生労働省の統計によると、かご車に関連する労働災害は毎年多数報告されており、陸上貨物運送事業では死傷事故が増加傾向にあります。

事故の型として特に多いのは、

墜落・転倒・転落事故(死傷事故の内の約4割)、挟まれ・巻き込まれ事故(死傷事故の内の約1割)です(引用:陸上貨物運送事業労働災害防止協会https://rikusai.or.jp/wp-content/uploads/2025/06/kakutei_2024.pdf)。

かご車は数百キロの荷物を積載することもあり、一度バランスを崩すと人の力では制御できません。わずかな段差や傾斜でも重大事故に直結する危険性があります。

そのため、「誰にでも起こりうる事故」である点が最大の特徴といえるでしょう。

かご車で多発する3つの典型事故

(1)激突・挟まれ・巻き込まれ

狭い通路で操作中に人や棚に衝突したり、壁とかご車の間に体を挟まれる事故です。

指の切断や骨折などの重傷につながることもあります。

(2)転倒・落下事故

荷物の積み過ぎや重心の偏りにより、かご車が転倒するケースがあります。

また、上部に積んだ荷物が落下し、頭部を直撃する事故も後を絶ちません。

(3)テールゲートリフターからの墜落

トラックへの積み下ろし時にリフター上でバランスを崩し、かご車ごと転落する事故です。

高所からの墜落は死亡事故につながる危険もあります。

重要な法改正と企業の安全配慮義務

企業は、労働契約法5条や労働安全衛生法に基づき、労働者が安全に働ける環境を整備する安全配慮義務を負っています。

近年の法改正により、この義務はさらに具体化されています。

テールゲートリフター特別教育の義務化(2024年施行)

かご車の積み下ろし作業に従事する労働者に対し、特別教育の実施が義務化されました(労働安全衛生法59条3項、労働安全衛生規則36条5号の4)。

教育を行わないまま事故が発生した場合、会社の責任が強く問われる可能性があります。

昇降設備の設置・保護帽着用義務の拡大(2023年施行)

一定規模の車両について、踏み台などの昇降設備の設置やヘルメット等の保護帽着用が義務付けられました(昇降設備につき労働安全衛生規則151条の67、保護帽着用につき労働安全衛生規則151条の74)。

これらの措置を怠っていた場合、安全配慮義務違反を基礎付ける重要な証拠となります。

現場で見られる事故を招く危険な環境

実務上、次のような状況が事故の背景にあることが多く見受けられます。

  1. 故障したキャスターを交換せず使用していた
  2. 荷物を過剰に積載していた
  3. 通路に商品や資材が放置されていた
  4. 作業マニュアルが整備されていなかった
  5. 保護具の着用が徹底されていなかった

現場では「急いで作業すること」が優先され、安全対策が後回しにされがちです。

しかし、このような環境下で事故が起きた場合、会社の責任が認められる可能性が高まります。

会社が徹底すべき安全対策(チェックポイント)

以下の対策が講じられていない場合、安全配慮義務違反を主張できる重要な事情となります。

・「引き操作」ではなく押して運搬する

・視界を遮る高さまで荷物を積まない

・傾斜地では複数人で作業する

・停止時は必ずストッパーを使用する

・安全靴・ヘルメットなどの保護具を着用する

・不具合のあるかご車は使用禁止にする

・定期点検を実施する

事故後に責任追及できるかどうかは、これらの安全措置の有無が大きく左右します。

事故後にとるべき2つの法的手段

(1)労災保険による補償

業務中の事故であれば、原則として労災保険が適用されます。

主な給付は次のとおりです。

治療費:全額補償

休業補償:給付基礎日額(事故前直近3ヶ月の平均賃金の日割り)の約8割(内訳としては補償給付金が6割、特別支給金が2割)

障害補償:後遺障害等級に応じた年金や一時金等の給付

遺族補償:死亡事故の場合に支給

大きな特徴は、労働者に過失があっても原則として給付を受けられる点です。

(2)会社に対する損害賠償請求

もっとも、労災保険だけでは損害のすべては補填されません。

例えば次のような項目は原則として支払われません。

・入通院慰謝料

・後遺障害慰謝料

・将来の逸失利益の不足分

そのため、適正な補償を受けるには、「労災保険+会社への損害賠償請求」という二段構えの対応が極めて重要になります。

会社は「本人の不注意」と主張してくることがあります

かご車事故では、会社側が

「注意不足だった」「作業方法に問題があった」

などとして責任を否定するケースが少なくありません。

しかし実際には、

・教育が行われていなかった

・人員が不足していた

・過密な作業を強いられていた

といった構造的な安全管理の問題が潜んでいることも多いのです。

弁護士が介入し、現場状況や法令遵守の有無を精査することで、結論が大きく変わることも珍しくありません。

当事務所のサポート体制

当事務所では、かご車による労災事故について次のような支援を行っています。

・労災申請の代理・書類作成

・後遺障害等級認定のサポート

・安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求

・示談交渉から訴訟まで一貫対応

事故による不安を少しでも軽減し、将来にわたる適正な補償を実現できるよう尽力いたします。

まとめ:適正な補償を受けるために重要なこと

ロールボックスパレットは便利な反面、一歩間違えれば人生を左右する重大事故につながります。

そして、労災保険はあくまで「最低限の生活保障」です。

慰謝料や逸失利益まで含めた十分な補償を得るためには、会社への損害賠償請求を視野に入れることが不可欠です。

「これは労災になるのか?」

「会社に責任はあるのか?」

そう感じた時点で、できるだけ早く専門家へ相談することをおすすめします。

当事務所では労災事故に精通した弁護士が、一人ひとりの状況に応じた最適な解決策をご提案します。どうぞお気軽にご相談ください。

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