【弁護士が解説】トラック運転手の皆様へ――荷台からの墜落・荷積み等での事故に遭ったとき、適切な後遺障害等級と賠償金を得るために今知っておくべきこと

荷台からの墜落事故や、荷積み作業での腰痛・肩の負傷は、運送現場では決して珍しくありません。しかし、事故に遭ってしまったとき「これからどうすればいいのか」「会社には何を求められるのか」「弁護士に相談すべきなのか」と不安になる方が非常に多いのが現実です。

今回は、トラック運転手として働く皆様が、事故後に安心して今後の対応を進められるよう、弁護士の視点からわかりやすくご説明します。

1. トラック運送現場で多発する事故

運送業の仕事は、単にトラックを運転するだけでなく、荷物の積み下ろしや車両確認、長時間・深夜運転など多岐にわたり、体への負担が非常に大きい業務です。日々の作業の中で、思わぬ事故が突然発生することもあります。

特に以下のような事故が多く発生しており、重大なケガや後遺障害に繋がることも少なくありません。

・荷台からの墜落・転落(荷積み中にバランスを崩して落下)

・荷台に手すりや滑り止めがなく、足を滑らせて落下

・雨天や床材の劣化による滑倒事故

・荷物の積み下ろし中の急激な腰への負担で腰椎椎間板ヘルニアを発症

・重量物の持ち上げ動作による肩関節・背中の障害

・無理な姿勢や反復動作による慢性的な腰痛・神経障害

これらの事故は、たとえ初めは軽傷に思えても、後から重い症状や後遺障害に発展することがあり、注意が必要です。

2. 会社の「安全配慮義務」とは

事故に遭った方やご家族にまず知っておいていただきたいのは、会社には法的に「安全配慮義務」という重要な義務が課せられているという点です。

安全配慮義務の内容として、会社は、従業員が安心して安全に働けるように、次のような措置を取る法的義務を負っています。

・荷台に手すり・滑り止め・昇降設備を設置する

・重い荷物の持ち方・体の使い方を教育する

・定期的な設備点検を行う

・無理な長時間労働をさせない

会社がこれらの義務を怠っていた場合、会社の安全配慮義務違反として、労災とは別に損害賠償請求を行うことが可能になります。

3. 事故直後は「治療」と「記録」が最優先

万が一、事故が発生してしまったとき、一番大切なのはまずご自身の身体を最優先に考え、速やかに適切な治療を受けることです。

事故直後にしっかりと検査を受け、診断書など医療記録を残しておくことは、後々の補償手続きにおいて非常に重要な証拠となります。

4. 事故直後の「証拠保全」の重要性

治療と並行して、事故状況を客観的に記録することが後々大きな力になります。

・現場の写真

・事故の瞬間を目撃した作業員や監督者の証言

・作業日誌や作業指示書のコピー

・会社が作成した事故報告書

これらの証拠が残っていることで、後に「会社の安全管理に問題があったのでは?」という主張を裏付ける大きな材料になります。事故後の混乱の中では難しいこともありますが、ご家族が協力して証拠を確保しておくことも検討してみてください。

5. 労災保険と損害賠償請求

事故に遭った場合、まず労災保険から給付を受けることができます。労災保険は国の制度であり、会社の過失の有無に関わらず給付を受けられる点が特徴です。

労災保険から受けられる主な給付

・療養補償給付(治療費全額支給)

・休業補償給付(給与の約8割相当)

・障害補償給付(後遺障害が残った場合の一時金や年金)

・遺族補償給付(死亡事故の場合の遺族年金)

ただし、労災保険だけでは損害の全額をカバーしきれない場合が多いのが実情です。

労災保険で不足する部分は、会社に対する損害賠償で補うことが可能になります。

・治療費の自己負担分・差額分

・実際の収入減少(休業損害の不足分)

・後遺障害慰謝料(後遺障害が残ったことに対する精神的苦痛への賠償)

・将来の逸失利益(障害により働けなくなった将来の収入)

・交通費・付添費などの細かな実費

特に後遺障害が残るケースでは、労災保険だけでは生活再建に不十分なことが少なくありません。また、事故の内容や後遺障害の程度によっては、数百万円から数千万円の賠償額となることもあります。

6. 後遺障害の認定は慎重に

腰痛や椎間板ヘルニアなどは、事故後すぐに完治するとは限らず、慢性化・再発の不安を抱えたまま長期にわたって生活に影響を及ぼすこともあります。

このように症状が固定された段階では、後遺障害の等級認定を受けることが可能です。

後遺障害等級は、1級〜14級まで細かく定められており、等級によって賠償額が大きく変わってきます。

この後遺障害等級の認定が適正にされるかどうかが、損害賠償額を左右します。逆に言えば、不適切に低い等級が付けられてしまうと、将来の補償額が大きく減ってしまいます。

7. 弁護士に相談することが安心につながる

事故に遭われた直後は、治療やリハビリに追われ、冷静に手続きを進めることが難しくなります。こうした時こそ、労災事故に詳しい弁護士のサポートを受けることが、安心・納得の補償を得る大きな力になります。

弁護士は以下のようなサポートを行います。

・会社との交渉や代理

・労災保険の後遺障害等級認定手続のサポート

・必要な医療記録・診断書の準備

・賠償金の適正額の試算と請求

会社との交渉において「会社から提示された金額が妥当なのかわからない」という不安に対しても、弁護士が一緒に整理し、必要ならば専門的に交渉しますので、どうか一人で抱え込まず、早めに専門家へご相談ください。

8.最後に――事故後に遭われた皆さまへ

トラック運転手として日々現場で働く皆様は、常に事故やケガのリスクと隣り合わせです。業務の際に生じた事故は決して一方的に労働者の自己責任とされるものではありません。仕事中の事故であれば、それを未然に防ぐべきだった会社側にも責任が生じる可能性があります。そして、適切な補償や賠償を受け取ることは、あなたとご家族がこれからの生活を立て直していくための当然の権利です。

もし今、事故後の対応に不安を感じておられるなら、どうか一度ご相談ください。あなたとご家族が安心して前を向けるよう、弁護士として全力でサポートさせていただきます。

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